子供は小さな大人ではない

サッカーが上手くならない原因はこれに尽きると思います。

「子供は小さな大人ではない」

どういうことかというと、このサイトのどこかにも書いてあるような気がしますが、簡単に言うと視覚的な情報に頼ってはいけない！ということです。

目で見えているものは「現象」であり「答え」「結果」です。そのため、誰にでも見ることができます。しかし、その現象の捉え方は人それぞれで多少の誤差があります。サッカーの世界でも、日本代表監督に対して批評している方たちがいると思いますがそういうことです。

目で見ているものは同じです。そこから何を感じ取ってどう思うのか、は、人によって異なると思います。なぜ、違うのか？それは、経験、趣向、などいろいろな要素があると思います。要するに同じであるわけがないことを語り合っているので酒場でサッカーの話題は盛り上がるわけです。

育成の現場で、保護者の皆様の中で、同じようなことが起きていませんか？これは「私はこう思う」という基準です。はっきり言ってしまえば、これは育成にはとても邪魔になると思います。

理由は少し上を読んで頂くとわかると思います。なぜ違いが生まれているのかというと？その人の経験ですよね？子供たちは同じ経験値を持っているでしょうか？経験がないんです。

だから、大人が視覚的な情報により評価し、それを子供に与えることはリスクになります。

また、この目に見える現象は偶然が引き起こしています。大袈裟な話をすれば気象条件をコントロールできるでしょうか？たまたまその気温、風が吹いて、またまたそのような地面になっています。体調はどうですか？確実にベストコンディションでしょうか？これも日によって違うと思います。

では、このコンディションを例に話を進めましょう。コンディションを整えるためにどんなことをするでしょうか？例えば、寝る時間を一定にする。食事を管理する。ストレッチをする。ゲームを少しする？テレビやネットで動画を見る？などストレスに対するマネジメントをする。いろいろなことがあると思います。ルーティンと言ったりもしますね。

コンディションを整えるためには、同じことを繰り返していると思います。これは確率を上げる作業です。偶然の中にあってある程度の必然を生む作業です。こんなようなことは皆さん普段からやっていると思います。

偶然を乗り切るために確率を上げる作業がトレーニングです。

そうなると、コーチが何かを教えてくれるようなところになぜ行きたくなるのか、よくわかると思います。確率を上げる作業ですね。合ってます。

しかし、問題はそこではなく必然にしているものが「視覚に頼りすぎたもの」だと言うことです。

何となーくご理解いただけるかと思いますが、偶然は一つではないんです。複数の偶然が複雑に絡み合った結果が現象です。この現象に対して必然を作るとどうなると思いますか？例えば、小学生と高校生のスピードを比較してみてはいかがでしょうか？これも偶然スピードがないだけです。スピードをあえて抑えているのではなく、骨格、筋力的にスピードが出ないだけです。

この条件下で必然としてしまうと、どうなことが起こるでしょう？おそらく他の選択肢を持てなくなると思います。それを磨く以外の手段を失います。

現象は偶然なんです。だから、手段は何でも良くてどうにかして求める現象となれば良いだけなんですよ。

例えば、学校からみんな帰って来ていると思います。事故にあっている子が毎日いるかと言うといないと思います。無事に帰って来ています。それは車側が配慮してくれていたり、自分が安全を確保したり、地域の方々が安全を保ってくれたり、という要因がありその子によって依存度は異なると思います。みんな道の歩き方は違っていると思います。これも偶然なんです。

何となく、お分かり頂けると思います。

こうやるだ！というものは存在しません。それはみんな違います。何がそれを決めるのかというと「体験」です。体験の蓄積がその子の判断に影響を与えます。ということは、その子が自分の基準を作るために体験機会が必要だと、お気付きなるかと思います。

オフザボールのポジションを身につけるためにはそれを体験する必要があります。サッカーの中では現象としてポジションが悪いというものが視覚的に評価できます。だから、それを教える、となるとそこには経験が必要です。でも子供達には経験がないわけです。だから鬼ごっこで体験をさせ経験を積む必要が出て来ます。

「子供は小さな大人ではない」

まだ生まれて数年しか経ってなく経験がないんだから視覚的なアプローチでは無理でしょ？手段も一つではないんだから自由にやってもらわないと結局プロになるための「個性」も身につかないんだけどなーと思う。