この日はかなりのサプライズがありました。それは子供達がディベート的な衝突を起こしたことです。
なぜそうなったのか?順序立てて解説します。
ドンジャンケンというジャンケンで勝ったら進み、負けたら戻る、というルールのゲームを行いました。
このドンジャンケンでは、サッカーの攻守、身体操作などのオーガナイズが含まれます。子供達には、コースづくりとチーム分けをお願いしました。
チームを分けるのに20分くらいかかりましたかね?コースは比較的早く出来上がりました。
一つはコーンを使ったスラローム、ボールを使いドリブルでやることになりました。もう一つはコーンの間にフープを置いてケンケンパをやることにしました。
さて、やろう!
やってみると、スタート位置がおかしかったり、ジャンケンの勝敗がついていないのに次の人も着いていってしまったり、と色々な不具合が発生しました。
これらは私の方でサポートし、スタート位置はここで次の人はここで待っていようよ?と提案しました。
そんなこんなでやっているうちに、ケンケンパをせずに突進する子が現れました。これはルール違反です。ルールを守らないのであれば勝てます。ルールがあるから勝つことが難しくなります。そこが遊びのポイントです。何でもよければ何もないのと一緒です。
どうしたものか、と観察していると1人の子が”ちゃんとやれよ!ダサいよ!”と発言しました。
これには驚きました。
驚いたのは”ダサいよ!”という意見が発言に含まれていたところです。
“ちゃんとやれよ”とか”真面目にやれよ”という言葉ほ少年サッカーの現場でも大人から聞こえてきます。これには”何で?”という返答がつきそうですが、言えば怒られる、という忖度から”はい”と回答してしまいます。子供は納得はしていません。なぜ、真面目にやらなければならないのか?
ここに”ダサい”という言葉がついてきました。
この言葉には、”ルールを守らないことで利益を得ている君は”という概念が見えます。
なぜルールがあるのか、そしてルールがどのように機能しているのか、それによって何が起こるのか、これらをら言語的ではなくても感覚的に理解をしている、という点に驚いた訳です。
ちゃんとやれよ!これはルールを守れよ、ということです。
ダサいよ!これはそんなことをして勝っても意味がないだろ?ということです。
行動を起こした子は”勝つために”や”自分が利益を得るために”という視点でルールを破りました。
自分が勝つためにルールを犯してもいいじゃないか!という主張です。
もう一方の子は”それは勝つと言えるのか?“という視点での指摘です。
ディベートのテーマは”勝つ”です。
行動で示した子は、ドンジャンケンの特性上、相手の陣の深い位置でジャンケンをした方が有利、という判断をしました。
発言で示した子は、ルールの中で競争があるのでルールを守らなければ勝敗もない、という視点から”勝つ”という行動を否定しました。
子供の世界ではよくあることですが、非常にレベルの高いディベートだったと思います。
行動で示した子も”ダサい”という指摘でルールの中で競争している、という点を理解したようです。